No.4763 (2015年08月08日発行) P.74
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-02-14
天神祭が近づくと、大阪の町は何となくそわそわした気分になってくる。今年は、天満天神さんの生き字引・高島幸次先生にお世話になって、めいっぱい楽しんだ。
高島先生によると、天神祭は歴史・規模からいってぶっちぎりで日本一のお祭りだそうで、日本三大祭りの一つとして祇園祭などと並べられるのは迷惑とのこと。異論もあるだろうが、お世話になったし、一応はそういうことにしておきたい。
御神霊、もちろん菅原道真公、が、天神さんから外へ出て、ぐるっと近所を一周して帰ってこられる、というのが、毎年7月25日におこなわれる本宮のコンセプトだ。
道真公の御神霊が本殿から御鳳輦に移され、まずは陸渡御として、担がれて町を練り歩く。ついで船に乗っての船渡御。長い距離ではないが、船で大川(旧淀川)へと繰り出してクルージング。そして、再び陸路をたどって天神さんに戻ってくる。
天神祭を特徴付けているのは、なんといっても船渡御だ。御鳳輦や御神輿を載せた奉安船、それにお供する催太鼓などの供奉船、さらに、私のような一般の人が見物のために乗る奉拝船。大小百艘もの船が出る。
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