●執筆
上野尚雄(国立がん研究センター中央病院歯科医長)
●商品説明
判型:A4判
頁数:27頁
価格:1,650円(税込)
口腔粘膜炎はがん治療に伴って起きる,頻度が高い有害事象のひとつです。口腔粘膜炎は,その痛みで患者さんを苦しめ,食事や会話などの問題に直結するだけでなく,時にはがん治療の円滑な進行の妨げともなります。そのため,口腔粘膜炎への対応は重要ながん支持医療のひとつです。しかし残念ながら,口腔粘膜炎の対応は,発症を完全に抑える予防法や画期的な治療法に乏しく,施設によって対応にばらつきがあるのが現状です。
本コンテンツはがん診療に関わるすべての医療従事者を対象に,実臨床で明日から実際に使用できる「粘膜炎へのエビデンスのある治療」や「コンセンサスを得ている介入」,「本邦で対応可能な具体的対応」について簡潔に明記し,口腔粘膜炎に対する支持医療の普及・均てん化をめざすものであります。
本コンテンツの特徴は,具体的に3点あります。
①今までの殺細胞性抗がん薬だけでなく,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などでも発症機序・病態が異なる粘膜炎が発症し,その対応も異なる点があります。口腔粘膜炎はなぜ起きるのか,口腔粘膜炎の管理はなぜ必要なのかなど,総論的な内容にも言及し,より適切な介入のための一助としています。
②口腔粘膜炎に対する適切な口腔管理(口腔ケア)は,感染の制御や疼痛緩和が期待でき,重症度の軽減や発症期間短縮の手助けとなる重要な介入と言われています。質の高い口腔管理を行うための,適切な口腔内のアセスメント方法や他疾患との鑑別のポイント,粘膜炎の重症度に合わせた具体的な口腔管理の内容などについて詳細に記載しています。
③日本の診療の枠内で実際に行える口腔管理以外の具体的な対応について,がん支持療法の国際学会であるMASCC(国際がんサポーティブケア学会)/ISOO(国際口腔がん学会)の粘膜炎ガイドラインの内容に添いつつ,現在のエビデンス,コンセンサスを整理して記載しています。
本コンテンツが,日々の臨床に少しでも役に立つ手引き書となれば幸甚です。