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下垂体腫瘍[私の治療]

No.5166 (2023年04月29日発行) P.52

田原重志 (日本医科大学脳神経外科学教室准教授)

登録日: 2023-04-28

最終更新日: 2023-04-25

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  • 下垂体部には多くの腫瘍性病変が発生するが,ここでは下垂体腫瘍と下垂体腺腫を同義語として扱う。下垂体腺腫は下垂体前葉由来の腫瘍であり,そのほとんどが良性腫瘍である。最新の日本脳神経外科学会の登録によると,2016~17年度の手術症例は原発性脳腫瘍が17.2%を占め3番目に多い。下垂体腺腫は,腫瘍が不適切にホルモンを分泌することにより特徴的な臨床症状を呈する機能性腺腫と,それ以外の非機能性腺腫にわかれる。本稿では,機能性腺腫の中で頻度の高い成長ホルモン産生腺腫,プロラクチノーマ,クッシング病について述べ,最後に非機能性腺腫についても解説する。

    ▶診断のポイント

    下垂体腺腫が疑われる場合,下垂体前葉ホルモンの基礎値およびコルチゾール,free T4,IGF-I,テストステロン(男性),E2(女性)を測定する。同時に下垂体中心の造影MRI(冠状断,矢状断)を行う。画像上腫瘍が視神経を圧迫している場合は,眼科で視力・視野の評価を行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    プロラクチノーマ以外は手術が第一選択となる。現在,手術は内視鏡を用いた経鼻的手術が主流である。手術でコントロール不良な場合は,薬物や放射線治療が選択されることが多い。以下にそれぞれの下垂体腺腫の治療方針について述べる。放射線治療については最後に解説する。

    【成長ホルモン産生腺腫】

    治療の第一選択は経鼻的腫瘍摘出術である。術前のソマトスタチン誘導体投与により腫瘍縮小が期待できる場合がある。

    薬物療法は,合併症で手術の危険性が高い場合や手術後コントロール不良例に使用され,大きくわけて3種類存在する。まずソマトスタチン誘導体であるが,現在オクトレオチド(Oct),ランレオチド(Lan),パシレオチド(Pas)が使用可能で,4週間に1回の注射薬が用いられる。その中でもPasはソマトスタチンレセプター(SSTR)type 5に強い親和性を持ち,OctやLanで効果が不十分な症例にも効果が期待できる。ただし,副作用として高血糖に注意する必要がある。

    次にドパミン作動薬であるブロモクリプチン(BC)を1日当たり2.5〜15mg,2〜3回にわけて食直後に経口投与する。カベルゴリン(Cab)も有効であるが保険適用はない。

    また,成長ホルモン受容体拮抗薬であるペグビソマントが使用されることもある。この薬剤は,1回10~30mg 1日1回の皮下注射が必要であり,IGF-Iの正常化率は高い。ただ,腫瘍に直接作用する薬剤ではないため,MRIによる定期的な腫瘍サイズのチェックが必要である。

    単独の薬物療法でコントロール不良の場合には,薬物併用療法も行われることもある。

    【プロラクチノーマ】

    下垂体腺腫の中で唯一,薬物療法が第一選択となる。保険適用となっている薬剤は,Cab,BCであるが,通常,副作用が少なく週1回の投与が可能なCabが用いられることが多い。Cabの場合,0.25mg/週より開始しプロラクチン値により漸増する。保険適用上の上限は1mg/週である。手術は,薬物抵抗例や副作用(嘔気,起立性低血圧など)で服薬できない場合に行われる。

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