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医学生よ、プリミティブな欲望を抱け [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(61)]

No.4765 (2015年08月22日発行) P.75

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • ご存じ山崎豊子の『白い巨塔』は浪速大学が舞台だ。上昇志向の塊である外科医・財前五郎が主人公。その教授選考をメインストーリーに、医療訴訟がからんでくる。患者側に立って財前と対立するのが、同級生で学究肌の内科医・里見脩二。

    誤解しておられる向きもあるかもしれませんが、この小説はあくまでもフィクションでありまして、我らが大阪大学とは何の関係もございませぬ。

    田宮二郎が財前を演じたテレビドラマは、もう30年以上前、医学生のころに放送され、学生同士でしょっちゅう話題になった。ほぼ全員が「財前はけしからん。里見のような医師をめざしたい」という意見であった。世間一般の人が望むのと同じだ。

    そして25年の歳月が流れ、唐沢寿明版が放映されたころ、同窓会があった。ほとんどが「財前はまだ理解可能だけれど、里見のような奴がいたら本当に困る」という意見であった。同級生で医療小説家となっている久坂部羊などは「里見というのはフィクションでしかありえない」と断言。

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