「なんか心臓もおかしいと聞いて驚いてますよ。胸とかそんな、いろいろ質問されても、痛いも苦しいも私は何もない」
初めて診察で訪室したとき、Tさんは本を読みながらそう言った。齢は90代、遠出には杖を持参するが、日々の生活は独歩。そんな人が普段と何も変わらない、行きつけの店に妻と夕食に出かける道すがらで転倒し、大腿骨を骨折した。救急受診は土曜の夜8時前、筆者が相談を受けたのは約1週間後の手術前日だったと記憶している。
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