脳内出血は,脳卒中では脳梗塞についで多く,約20%を占める。その多く(80%)は高血圧性脳出血であるが,脳動静脈奇形などの脳血管病変や血液凝固異常(抗血小板薬や抗凝固薬治療を含む)が原因の場合もある。高齢者の繰り返す皮質下出血は,脳アミロイド血管症が原因であることが多い。出血部位は,被殻(31.1%),視床(28.1%),大脳皮質下(21.5%),小脳(8.6%),脳幹(8.5%)の順に多い1)。
脳内出血の症状は,血腫の存在部位と大きさによって異なる。頭痛,嘔気や出血部位に応じて,半身麻痺,感覚障害,半側空間無視,共同偏視,視野障害などの神経症状が出現する。出血が大型の場合には意識障害を伴う。
来院後は,バイタルサインの評価や神経診察後に頭部CT検査を行う。CTにより,急性期の出血は高吸収域として描出され,さらに,合併する脳室内出血,脳浮腫(出血後数時間で出現),脳ヘルニアの程度も把握することができる。
高血圧症の既往がない例,若年者,皮質下出血,くも膜下出血などを伴う場合は,出血源として,脳動静脈奇形,脳動脈瘤あるいは脳腫瘍からの出血の可能性も考え,3D-CT血管撮影,MRI/MRA,脳血管撮影検査などを行う。
脳内出血と診断したら,適切な血圧管理と頭蓋内圧管理を含めた内科的治療を行い,意識障害が中等度以上〔Japan Coma Scale(JCS)が20以上〕であれば,救命を目的に外科的治療を考慮する。
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