【質問者】三浦健一郎 東京女子医科大学腎臓小児科准教授
【炎症や凝固障害に起因する重症化を予防する効果も期待される】
2019年末から始まったコロナ禍では,世界中で多くの死者を出すことになりました。各種の治療薬が開発,あるいは臨床応用されてきましたが,SARS-CoV-2ワクチン未接種の場合,あるいは,もともと重症化リスクが高いCOVID- 19患者では,人工呼吸管理あるいは体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)など集中治療が必要となる重症者も一定数存在します。
重症化したCOVID-19では,血小板や血管内皮に対する直接的な作用,もしくは炎症や凝固障害による間接的な作用によって,血栓形成の増加,塞栓や出血が起こり,結果として多臓器に障害を起こします1)2)。糖尿病や肥満などの心血管リスクがある患者では,この血栓症や内皮障害,慢性炎症が背景にあるため,より重篤化しやすいとされています。COVID-19の重症化予防や治療における戦略として,血小板凝集(throbocytopathy),内皮細胞障害(endotheliopathy),そして炎症(inflammation)および凝固障害(coagulopathy)をターゲットとした併用療法が挙げられます1)。
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