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脳卒中後遺症[私の治療]

No.5181 (2023年08月12日発行) P.46

田島和周 (田島医院院長)

登録日: 2023-08-15

最終更新日: 2023-08-08

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  • 脳卒中は,ほとんどが急性に発症する脳出血,脳梗塞,くも膜下出血などの疾患の総称である。いったん発症すると,麻痺,嚥下障害,運動失調だけでなく,失語等の高次脳機能障害などの後遺症を残すことが多い。
    脳卒中は「悪性新生物」「心疾患」「老衰」についで日本人の死亡原因の第4位である。また,要介護者になる原因として,「認知症(24.3%)」についで「脳血管疾患(脳卒中)」が19.2%となっている1)

    ▶代表的症状・検査所見

    【代表的症状】

    発症時の主な症状は,突然の激しい頭痛,めまいと歩行障害,発語障害,視力視野障害,麻痺としびれである。主な後遺症としては,痙縮,異常感覚(痛み),うつ,脳血管性認知症,症候性痙攣,嚥下障害,膀胱直腸障害などがある。

    【検査所見】

    発症時は,神経学的診察所見と,頭部CT・MRI検査などで診断される。脳の障害部によって後遺症が異なる。また,適切な病型診断が再発予防のために重要である。

    ▶治療の考え方

    急性期は,できる限り早く脳卒中専門医を中心としたチームが,脳卒中専門病棟で集中的に診断・治療を行うことで,死亡率や後遺症を抑制できる。また地域において,診療の均てん化とシームレスな医療・介護提供体制づくりが必要であり,「治療とリハビリテーション」の継続が地域全体の脳卒中再発予防とQOL向上につながる。

    【早期(回復期)のリハビリテーションの重要性】

    一般に上下肢の運動麻痺は発症3カ月まで回復を続け,6カ月以降はほとんどプラトーに達する。麻痺の程度や回復の見込みに合わせて,適切な装具や杖などの補助具を使用したり,非麻痺側の機能をうまく利用したりして,日常生活動作(ADL)の拡大や歩行能力の向上を図っていく必要がある。

    ▶アセスメントのポイント

    脳卒中の病型により再発予防のための治療は異なる。リスクコントロールと基本的な治療方針は継続すべきである。

    リハビリテーションは,障害と活動制限を評価して残存能力を維持し,移動,食事,排泄,入浴などの日常生活に即したものとし,家族の介護負担を軽減するという視点も必要である。適切な装具や福祉用具の選択も重要である。

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