(restless legs syndrome:RLS)は,夕方から夜間にかけて,下肢を動かさずにはいられない強い衝動が生じ,じっとしていると悪化し,運動動作で改善がみられるという特徴的な異常感覚が出現し,これが原因で不眠をきたす睡眠関連運動障害である。患者は,異常感覚を「むずむずする」「むずがゆい」「だるい」「脚が熱い」「脚を動かしたい」など様々な表現で訴える。客観的に所見をとらえることが困難なため,過小評価を避けるためにも入念な問診が重要である。また,擬似病態との鑑別診断が重要である。
RLSの誘因には,妊娠,鉄欠乏,末期腎不全(透析),長期臥床などがある。RLS症状を誘発・増悪させうる薬物には抗ヒスタミン薬,ドパミン受容体拮抗薬,抗うつ薬などがある。RLSの主たる病態には,遺伝的要因(RLS関連候補遺伝子:BTBD9,MEIS1,MAP2K5/LBXCOR,PTPRD),鉄の欠乏と動態の異常,A11ドパミン神経系の神経伝達機構の異常がある。
①RLSに特徴的な脚の感覚症状をとらえることと,②RLS擬似病態の鑑別,が重要である。RLS擬似病態には,下肢こむらがえり,体位不快感,静脈うっ滞,下肢浮腫,関節痛・関節炎,筋痛,末梢神経障害,神経根障害,習慣性貧乏ゆすり,末梢動脈疾患,湿疹,痛む脚動く足趾(painful legs and moving toes),アカシジアなどがある。
RLSの重症度評価には,IRLS重症度スケールが用いられる。治療効果の判定や経過フォローにも有用である。
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