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■NEWS 次期薬価制度改革、調整幅や中間年改定のあり方で対立―薬価専門部会

登録日: 2023-09-08

最終更新日: 2023-09-08

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中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は830日、調整幅のあり方や中間年改定などについて議論した。国民の負担を軽減するためとして調整幅や中間年改定のルール見直しによる薬剤費削減効果の向上を求める支払側と、中間年改定の実施に否定的な診療側との間の隔たりが改めて浮き彫りになった。

調整幅は現行制度で、「医薬品流通の安定のためのもの」と定義され、「改定前薬価の2%」に設定されている。医薬品流通では一部の不適切な値引き交渉によって過度な薬価差の偏在が生じているとの指摘があり、今後、厚生労働省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)において、実態把握や流通取引の改善に関する検討が行われることになっている。

こうした現状を踏まえ、厚労省は流改懇をはじめとする関係会議での検討状況を横睨みしながら薬価専門部会でも議論を重ねていくことを提案した。

調整幅について診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、現在の医薬品流通は2%の調整幅を前提に成り立っていることから、性急な見直しで流通が崩壊することに危惧を表明。「現時点では調整幅を見直すべきではない。サプライチェーンを含む全体の議論が必要だ」と訴えた。これに対し支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、調整幅が長年2%に据え置かれていることを問題視するとともに、薬価改定のあり方について「市場実勢価格を薬価に反映するためには、乖離率だけでなく乖離額も考慮するべきだ」と主張した。

■薬価改定は診療報酬改定と同時実施が基本―診療側・長島委員が中間年改定で見解

中間年改定の実施に関しては、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)が「薬価改定は診療報酬改定と同時期に行うことが基本だ」と否定的な見解を表明。森委員も、「中間年改定は医薬品のライフサイクルを短命にし、イノベーションに影響を及ぼし、最終的には国民の医薬品へのアクセスを阻害する恐れがある。実施の是非を含め、慎重な検討が必要だ」と同調した。

一方、支払側の松本委員は、「中間年改定は国民の負担軽減が最大の目的であることを認識すべきだ」と反発。その上で、中間年改定時の薬価算定ルールの適用範囲を拡大して「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の累積加算額の控除を行うことを強く求めた。

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