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実際にやってみた事例 ③ ─医療者の自己研鑽ツールとしての生成AIの可能性[そうだったのか! ChatGPT 医師が知っておきたい話題と活用法(3)]

No.5185 (2023年09月09日発行) P.32

廣澤孝信 (獨協医科大学総合診療医学・総合診療科講師)

登録日: 2023-09-11

最終更新日: 2023-09-08

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  • 昨今話題の生成AIには,最も有名なOpen AIが開発したChatGPT以外にも,大手の情報技術関連の企業が開発したGoogleによるBardや,MetaによるLLaMA(Large Language Model Meta AI)があります。

    ここでは引き続き,ChatGPTの効果的な使い方や医療者の自己研鑽ツールとしての具体的な活用方法を紹介します。

    1.ChatGPTの効果的な使い方

    ChatGPTには,ChatGPT-3とChatGPT-4という2つのバージョンがあります。ChatGPTを効果的に使うためには,①バージョンの選択,②使用言語の選択,③入力方法,そして,④出力の取り扱い,の4つがポイントです。

    ①バージョンの選択

    結論としては,費用を考えなければChatGPT-3よりChatGPT-4のほうが生成される出力の質が高いです。

    ChatGPT-3は使用者がログインするだけで,無料で利用することができます。一方で,ChatGPT-3の次の世代としてChatGPT-4があり,ChatGPT-3より精度が高いとされています1)。ただし,ChatGPT-4は有料で,かつ時間当たりの使用制限があります。「3時間当たり25回まで出力」と明記されていますが,筆者個人の使用感として,最近は制限以上の利用が可能なこともあります。最近のアップデートでは,使用者の入力を学習させる/させないなどの設定もできるようになりました。

    ②使用言語の選択

    結論としては,日本語よりも英語を使用するほうが生成される出力の質が高いです。

    これは,GPT(Generative Pretrained Transformer)を含めた大規模言語モデルの開発にはインターネット上の公開情報が用いられており,その公開情報は,日本語よりも英語のほうが情報量が多く,質が高いためです。ただし,英語以外の日本語を含めた他言語についてもChatGPT-3よりChatGPT-4で精度が向上しています。

    ③入力方法

    大原則として,執筆時(2023年6月24日時点)において,生成AIは実臨床への活用ができません。そのため,研究や自己研鑽のツールとしての利用が主となります。ただし,ChatGPTを介して個人情報が漏洩するのを避けるため,患者さんや使用者のプライバシーに関わる情報の入力は避けて下さい。

    提供されているOPEN AI API(application programming interface,他のプログラムと連携するために提供されている機能)から類推すると,少なくとも「役割」と「内容」を意識してプロンプトを入力したほうが,期待する出力により近くなることが予想されます(プロンプト入力のコツは,第1回No.5176掲載および第2回No.5178掲載も参照)。役割はChatGPTに期待する立場をさし,内容は具体的な質問やその出力の条件を示します。たとえば,下記のような入力が考えられます。

    ●役割を意識した入力
     あなたは,〇〇の役割を担っています。
    ●内容を意識した入力
     以下の文章を××の条件で△△して下さい。

    活用事例のプロンプトとして後述しますが,具体的には「あなたは教材開発をしている者です。前皮神経絞扼症候群(anterior cutaneous nerve entrapment syndrome:ACNES)を疑う身体所見の徴候についての多選択肢問題1問(正答は1つ)とその解答を作成して下さい。」となります。1文目が役割を,2文目が内容を意識した入力です。

    ④出力の取り扱い

    ChatGPTに限らず,生成AIは,単語の連なりから次にくる確率が最も高い単語を予想して生成しています。そのため,出力の真偽や内容を理解して生成していないことに注意が必要です。つまり,医療分野であれば,たとえもっともらしい出力であったとしても,その背景にある病態生理や疾患について理解をして生成しているわけではありません。生成された出力を鵜呑みにせず,その内容について,信頼できる出典を必ず自ら確かめること,つまり「裏をとる」ことが重要です。

    また,規制や利用にあたっては,施設や大学ごとに,その時点で最新の方針・規則を参照することも重要です。生成AIの使用に関しては,団体により積極的な推奨を促すところから禁止しているところまでスタンスは幅広く,その規制内容も刻々と変化しているため,使用に関してはその都度確認する必要があります。

    以上より,まとめると,より高い質の出力を得るためには,以下が重要です。

    1.バージョンの選択:費用を気にしないのであればChatGPT-3よりはChatGPT-4
    2.使用言語の選択:できれば英語で
    3.入力方法:役割と内容を明確にし,必要十分な入力を行う
    4.出力の取り扱い:自身でも確かめ,用いる場合はその団体の最新の方針・規則に則る

    使用者の期待した出力でなかった場合は,上記を見直し,プロンプトを改善したり入力情報を追加したりして,期待する出力に近づけていくことができます。また,文章量の問題で途中で出力が切れてしまった場合は,続きを出力するように促すと,その途中から追加を出力させることも可能です。なお,英語よりも日本語のほうが一度に出力できる文章量は短い傾向にあります。

    2.具体的な活用事例

    次に,医療者がChatGPTを活用する方法を具体的にみていきます。ここでは,医療者の自己研鑽のツールとしてのChatGPTの活用方法を紹介します。

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