中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は10月18日、2024年度薬価制度改革に向けた2巡目の議論を開始した。同日と20日はイノベーションの評価のあり方として、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)や有用性系加算のあり方など、新薬に関する薬価算定ルールの見直しについて議論した。
新薬創出等加算は新薬の特許期間中は薬価改定時の市場実勢価格による薬価引き下げを猶予する仕組み。革新的新薬創出の取り組み状況などに関する評価の得点(企業指標)が高い企業(企業区分Ⅰ)の品目は改定前とほぼ同等の薬価が維持されるが、得点が中程度または低い企業(企業区分Ⅱ、Ⅲ)の品目は改定前よりも1〜2割薬価が低くなる。
厚生労働省は現行制度の問題点として、①企業指標・企業区分は医療系ベンチャー等には不利な仕組みであり、過去にベンチャーが企業区分Ⅰに該当した例はない、②企業区分Ⅰの企業の品目であっても市場実勢価格との乖離率によっては薬価を維持できない場合がある―ことなどを指摘。部会に対応策の検討を求めた。
企業指標・企業区分について診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「ベンチャーを無条件に区分Ⅰとするのは少し飛躍がある。どのような企業であれば区分Ⅰになるのか検討が必要だ」と慎重に議論していくことを提案。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)もこれに同調したが、「ベンチャーが不利になりすぎないように何らかの見直しや配慮があってもいいのではないか」(森昌平委員・日本薬剤師会副会長)との意見もあった。
薬価引き下げの猶予額(累積加算額)を後発医薬品の上市後に一括して控除する時期も論点となった。過去2回の中間年改定では、薬価引き下げの猶予のみで累積加算額の控除は行われておらず、診療側はこの取り扱いの継続を求めたが、支払側は年2回の後発医薬品の薬価収載との同時の控除を主張した。
一方、有用性系加算では、①世界に先駆けて日本で開発された品目が対象の「先駆加算」の要件見直し、②原価計算方式で薬価算定された品目について、改定時に1回に限り外国平均価格調整を行うルール(現行は引き下げルールのみ)の見直し、③有用性系加算の加算率の算出方法の見直し―などが検討課題に挙がっている。