中央社会保険医療協議会は11月8日、急性期入院医療について議論した。誤嚥性肺炎などの救急搬送を含む高齢入院患者が急性期病棟で増加している問題で、厚生労働省は、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の評価項目見直しや、「急性期一般入院料1」の平均在院日数の基準短縮化などを通じて、患者の地域包括ケア病棟等への移行を促す案を提示。支払側は賛成したが、診療側は反対姿勢を示している。
厚労省は7対1病棟で高齢患者の割合が上昇していることへの対応として、「急性期一般入院料」の施設基準を見直し、医療機関間の機能分化による効率的な医療の推進を目指すことを提言。具体的には、①誤嚥性肺炎等の高齢者の該当率が高い、看護必要度の「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」(A項目)の評価日数を短縮する、②看護必要度のB項目は急性期の評価に馴染まないとの意見があることを踏まえ、7対1病棟の基準から外す、③「急性期一般入院料1」の平均在院日数の長い患者群では高齢者や要介護者の割合が高い点を考慮し、同入院料の平均在院日数の基準を短縮化する―ことなどを検討課題に挙げた。
支払側はすべての案に賛同。看護必要度のB項目の取り扱いでは、「急性期全般での除外を検討すべきだ」(松本真人委員・健康保険組合連合会理事)との意見もあった。
これに対して診療側はいずれの案にも否定的見解を示した。長島公之委員(日本医師会常任理事)は看護必要度の評価項目見直し案について、①救急搬送後の入院等(A項目)の評価日数短縮をすべての年齢にあてはめるのは行き過ぎた対応だ。仮に年齢を区切って対応を変えた場合も救急現場の混乱は避けられない、②B項目を単純に外すと、A項目2点以上の患者(現行はB項目が3点以上であれば該当患者となる)がまったく評価されなくなる―などと問題視した。
看護必要度ではこのほかの論点に、①「注射薬剤3種類以上の管理」(A項目)の対象薬剤から静脈栄養に関連する薬剤を除外し、評価日数に上限を設定、②A項目の「呼吸ケア」や「創傷処置」は看護必要度Ⅰ、Ⅱで異なる評価基準を、評価に伴う負担軽減の観点からⅡに統一、③看護必要度Ⅱを要件化する入院料の対象拡大―などが挙がっている。