厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会調査実施小委員会に、医療経済実態調査の結果を報告した。それによると2022年度の医療機関別の損益率(注1)は、一般病院が△6.7%(21年度は△5.5%)、一般診療所(医療法人)が8.3%(同7.1%)だった。さらに新型コロナの報酬特例を除いて損益率を見ると、一般病院が△6.8%(同△5.6%)、一般診療所(医療法人)が6.9%(同6.0%)という結果だった。
一般病院と一般診療所の設置主体別の損益率は表の通り。21年度に比べ、とりわけ病院が軒並み悪化しているのが見てとれる。
一般病院の損益率の悪化は、医業収益が前年度比2.1%増だったのに対して医業費用は3.2%増とより増えたため。水道光熱費(32.2%増)をはじめ医薬品費(5.6%増)、給与費(1.9%増)、給食用材料費(1.8%増)など費用の各項目が軒並み増加した。
一方、一般診療所(医療法人)では医業収益が4.0%増だったのに対して医業・介護費用は2.6%増にとどまった。給与費の3.4%増を外来診療収益が4.1%増と上回ったことが大きく影響した。
厚労省はまた、23年度の損益率も推計し、発表した。これは21、22両年度の収入や費用の伸びを前提に、コロナの5類への移行、物価高騰、賃金上昇などの影響を織り込んだもので、一般病院が△10.2%(コロナ報酬特例による収入等を除いた場合は△10.3%)で22年度よりも悪化見込み、一般診療所は7.6%(同7.0%)でほぼ横ばいになるとの見通しを示した。
中医協では次回以降の総会で、今回の実調結果を踏まえ、各側が意見を提出することになった。一般診療所の22年度損益率が前年度に比べて横ばいかわずかに好転していることから、支払側は診療所の報酬単価の引き下げを主張してくるものとみられる。一方、診療側は病院、診療所ともに大幅なプラス改定を求めていることから、審議が紛糾するのは必至の情勢だ。
注1)損益率=(医業・介護収益−医業・介護費用)÷医業・介護費用。医業・介護収益に新型コロナ関係補助金は含まない。
注2)一般診療所(個人)は院長等の報酬が費用に計上されていないため、見かけ上、損益率が高い数値になっている。