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転移性骨腫瘍[私の治療]

No.5206 (2024年02月03日発行) P.42

髙木辰哉 (順天堂大学医学部緩和医療学研究室・整形外科・リハビリテーション科先任准教授)

登録日: 2024-02-02

最終更新日: 2024-01-30

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  • 転移性骨腫瘍は続発性の骨腫瘍で,原発巣である悪性腫瘍「がん」から細胞が血行性に骨へ転移し,そこで増殖している状態である。ここでは骨転移と呼ぶことにする。
    骨転移は,がんの転移では肺,肝臓についで多く,痛みや骨折,四肢麻痺の原因となりうる。どのようながんからも起こる可能性があるが,肺がん,乳がん,前立腺がんからが多い。わが国では,年間100万人のがんへの罹患があり,そのうち10万人以上の新たな骨転移の発生があると予想されている。非常に多い疾患であり,がん患者の予後も伸びてきていることから,骨転移をきたしても数年単位以上の予後が期待されることも多く,整形外科医が積極的に関わることで,骨転移患者の運命が変わることを認識すべきである。

    ▶診断のポイント

    症状としては痛みが最も多く,がんの治療中あるいは既往がある患者で痛みを訴えた場合は,骨転移を鑑別に挙げる必要がある。あらゆる部位に起こりうるが,脊椎や骨盤,肋骨や上下肢の近位の骨に多く発生し,特に頸部から背部・腰部の痛み,上下肢のしびれや痛み,側胸部や側腹部への放散痛や締め付け感などを訴えた場合は,画像での確認が必要である。特に脊椎転移の場合は,胸椎が最も多く,単純X線ではとらえられない場合も多い。

    造骨性や溶骨性が優位なもの,混合性のものは大きな病変であれば,単純X線でもとらえられるが,CTのほうがわかりやすい。また,骨破壊が少ない場合や,骨梁間型と言われる骨内部に浸潤して骨破壊がほとんどない場合などは,MRIやPET-CTでの確認が必要なことが多い。多くは多発病変であるが,単発しか見当たらないときは組織診断による原発性骨腫瘍との鑑別が必要で,CTガイド下針生検などが選択肢となりうる。

    また,整形外科を初診する骨転移で発症するがんも,骨転移の1割程度ある。その場合は原発巣として肺がん,多発性骨髄腫,前立腺がん,悪性リンパ腫,腎細胞がんなどが多く,原発不明のままの場合もありうる。

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