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医療と美の追求(貴志和生)[プラタナス]

No.5207 (2024年02月10日発行) P.3

貴志和生 (慶應義塾大学医学部形成外科学教授/日本形成外科学会理事長)

登録日: 2024-02-10

最終更新日: 2024-02-07

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  • 十数年前に私の外来に、舞台女優をしているAさんがオトガイ部の皮下腫瘍を主訴に来院された。粉瘤と思い、くりぬき法を試みたが出てきたのは充実性の腫瘍で、その際の細胞診は悪性であったので局麻下に腫瘍切除を行った。病理診断は肉腫で、下口唇を含めたオトガイ部軟部組織のほぼ全切除が必要とのことであった。これまで報告されているどのような再建方法をもってしても、Aさんのように人前に出る綺麗な女性が、社会復帰、ましてや舞台に戻ることは困難と思われた。手術の前に何度も本人とお話しし、こちらでできることの説明をした。Aさんは十分に理解されたが、お話しするごとに気持ちがどんどん落ち込んでいかれるのが手に取るようにわかった。

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