株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

唾石症[私の治療]

No.5208 (2024年02月17日発行) P.56

平賀智豊 (東京歯科大学口腔腫瘍外科学講座)

登録日: 2024-02-19

最終更新日: 2024-02-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 唾石症とは,唾液腺の腺体内または導管内に結石(唾石)が形成される疾患である。唾液腺疾患で高頻度に認められ,顎下腺由来のものがほとんどである(80~92%)。舌下腺や小唾液腺での発生は稀である。成因としては,唾液の化学的性状の変化,唾液の停滞,異物,細菌感染,炎症により脱落した上皮などである。唾石の主体は無機質で,リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどが含まれる。唾石は通常1個だが,多発することもある。形態は,導管内では細長いことが多く,腺体内や移行部では球体が多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    無症状で,偶然X線画像によって発見される場合もある。特徴的な症状は排泄管の閉鎖によるもので,唾液腺部の腫脹(唾腫),食事摂食時の疼痛(唾仙痛),唾液排泄管開口部からの排膿(唾膿漏)である。

    【検査所見】

    導管内の唾石であれば,双手診により位置の確認ができる。双手診は,唾石を奥に押し込まないように深部から開口部方向に行うようにする。詳細な位置の確認は,単純X線検査やCT検査が有用である。特に,後方部の唾石は詳細な位置を把握した上で治療計画を立案する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    大唾液腺の排泄管開口部付近の小さい唾石であれば,唾液腺のマッサージや柑橘類・梅干しなどの食物摂取により自然排出が期待できるが,一般的には外科的摘出が推奨される。小さいものでは,唾液腺管内視鏡により摘出可能な場合もある。逆行性感染による急性化膿性唾液腺炎が認められる場合は,消炎術を優先する。唾石の摘出法は部位によって変えるべきであるが,口腔内から唾石が触知可能であれば口腔内アプローチによる摘出術を計画し,触知が不可能で深部に存在する場合は,口腔外アプローチにより唾液腺摘出術を検討する。

    残り1,095文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連物件情報

    もっと見る

    page top