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お正月に考える「医療の進歩と調和」 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(80)]

No.4785 (2016年01月09日発行) P.70

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-31

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  • 『○○の進歩と調和』と聞いて、迷わず○○に「人類」を入れるのは50歳代以上の人だろう。1970年に開かれた日本万国博覧会のテーマである。それから45年、すでに実現化した「夢の」技術がたくさんある。もちろん、医学にも著しい進歩があった。

    当時のことを調べてみると面白い。CTスキャンは開発段階にすぎなかったし、抗ウイルス薬などは存在しなかった。心臓や肝臓の移植医療は黎明期。そして、分子標的療法や再生医学はSFでしかなかった。

    65歳以上の高齢者人口が7%を超えて「高齢化社会の到来」とされたのが、ちょうどそのころだ。以来、平均寿命が男女とも10年ほど延びた。一方で、女性が一生に産む子供の数は2.1人から1.4人へ低下し、今や高齢者人口比率が25%になった。

    医師の数はおよそ11.9万人だったのが30万人を突破。ちなみに、女性医師の比率は10%弱だったのがおよそ20%に増加している。医療費は約2.5兆円から40兆円になっているから大幅な伸びに見えるけれど、物価も上昇しているので、対GDP比では2.5倍程度にしかなっていない。

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