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若者に急増するOTC薬乱用の実態と対策は?〜嶋根卓也(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長)【この人に聞きたい】

No.5218 (2024年04月27日発行) P.6

嶋根卓也 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長)

登録日: 2024-04-26

最終更新日: 2024-04-24

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生きづらさを抱えた若者を中心にOTC薬の乱用が急増
乱用の恐れのある医薬品の見直しと販売の厳格化、
薬物依存の若年女性向けの支援と受け皿づくりを


しまね たくや:2008年順天堂大学大学院医学研究科修了。国立精神・神経医療研究センターの薬物依存研究部流動研究員、心理社会研究室研究員を経て2012年より現職。専門は公衆衛生学・疫学。医学博士、薬剤師。

若い世代のOTC薬乱用などが問題になっている。その実態と対策について、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長の嶋根卓也氏に聞いた。

高校生の1.6%がOTC薬乱用

─大麻による検挙が相次いでいますが、若者の間に大麻が広がっているのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症流行時には大麻などの違法薬物の使用率は低下しており、若者の大麻使用が急激に増加しているわけではありません。実は、命に関わる恐れがあるにもかかわらず、大麻などの違法薬物よりも広がっているのがOTC薬の過剰摂取です。

たとえば、全国の全日制高校に通う約4万5000人を対象にした実態調査では、1.6%が過去1年以内にOTC薬乱用経験があり、大麻(0.16%)の10倍でした。高校生の約60人に1人が、OTC薬を乱用していることになります。

また、全国の精神科医療施設の薬物関連患者のうち、OTC薬の乱用症例は2012年には2.7%でしたが、22年は20.0%と、10年間で約7.4倍増加しました。

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