若い世代のOTC薬乱用などが問題になっている。その実態と対策について、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長の嶋根卓也氏に聞いた。
新型コロナウイルス感染症流行時には大麻などの違法薬物の使用率は低下しており、若者の大麻使用が急激に増加しているわけではありません。実は、命に関わる恐れがあるにもかかわらず、大麻などの違法薬物よりも広がっているのがOTC薬の過剰摂取です。
たとえば、全国の全日制高校に通う約4万5000人を対象にした実態調査では、1.6%が過去1年以内にOTC薬乱用経験があり、大麻(0.16%)の10倍でした。高校生の約60人に1人が、OTC薬を乱用していることになります。
また、全国の精神科医療施設の薬物関連患者のうち、OTC薬の乱用症例は2012年には2.7%でしたが、22年は20.0%と、10年間で約7.4倍増加しました。