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小児アトピー性皮膚炎(AD)治療における保湿剤の適切な使用法について

No.5219 (2024年05月04日発行) P.48

児玉和彦 (こだま小児科理事長)

岡藤郁夫 (神戸市立医療センター中央市民病院小児科医長)

登録日: 2024-05-01

最終更新日: 2024-04-26

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  • 保湿剤は小児アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)の再発予防に,「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021」でも推奨されています。しかし,一部では保湿剤の使用が自身の皮脂分泌を抑制する可能性があるという意見も存在します。さらに,食物アレルギーやADの予防を目的とした乳児期からの保湿には,否定的な論文も報告されています(参考文献:PMC9393761,PMC8094581)。
    ADの皮膚の保湿に関して,最善の対策は何でしょうか。可能であれば石鹸の使用の是非についてもご教示下さい。
    神戸市立医療センター中央市民病院・岡藤郁夫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】児玉和彦 こだま小児科理事長


    【回答】

    【児の好む外用薬を選択し,肌を触って微調整し,ピカピカをキープ】

    EAT研究〔乳児期にアレルギーを起こす頻度が高い食物を含めた,多様な食物を乳児期早期から摂取することで,食物アレルギー(food allergy:FA)発症が予防可能かを検証〕の対象集団(英国ウェールズの生後3〜6カ月の乳児)において,「定期的な保湿剤の塗布が経皮感作およびFAの発症を促進する可能性があること」を示した2021年の論文1)や,「健康な乳児への保湿剤などのスキンケア介入はおそらく湿疹の予防には有効ではなく,FAや皮膚感染症のリスクを増加させるだろう」という結論を出したコクランレビュー2)は,乳幼児の医療保健に関わる方々に混乱をまねいていることと思います。一方で,両親のどちらかにアレルギー疾患の家族歴があるなど,アレルギー素因がある乳児に対して保湿剤塗布を行った場合は,AD発症予防効果が示されている2023年の報告3)があります。

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