中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は8月7日、2025年度の薬価の中間年改定に関する関係業界ヒアリングを行った。製薬企業、医薬品卸とも物価・人件費の高騰、円安などの影響による経営の窮状を訴え、25年度の中間年改定の実施に反対を表明した。
ヒアリングで米国研究製薬工業協会は、日本製薬工業協会、欧州製薬団体連合会と合同で加盟企業30社を対象に実施した24年度薬価制度改革に関するアンケート調査の結果を報告した。それによると新薬開発への影響では30社中28社がポジティブ、またはややポジティブな影響が期待できると24年度改革を評価。その具体的な改革内容として、「迅速導入加算の新設」、「有用性系加算の評価充実」、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算における企業区分の廃止、品目要件の拡充」などに支持が集まった。
しかし日本市場の投資優先度への影響では、「現時点で大きな変化はなし」との回答が12社あり、国内開発活性化のために期待される改革では、「収載時の価格設定の見直し」(23社)に次いで「中間年改定のあり方の見直し」(15社)を挙げる声が多い結果となった。
日薬連も24年度改革を「イノベーションを評価する方向に180度舵を切った」と高く評価したが、25年度の中間年改定に関しては、物価高騰と円安による原材料調達コストの上昇や賃金引き上げ政策が国内のサプライチェーン維持に引き続き甚大な影響を及ぼしていることから、「実施する状況にはない」と反対を表明。まずは市場実勢価格に基づく薬価改定のあり方について、薬価差が生じる要因などの本質的な議論を行うべきだと主張した。
日本医薬品卸売業連合会も、中間年改定について廃止を含めた抜本的見直しを検討することや、25年度中間年改定の中断を求めた。
中間年改定に反対する関係業界の大合唱に支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「内閣において方針転換がない限りは薬価改定の中身を検討するのが中医協のミッションだ。その点は理解していただきたい」と苦言を呈した。