厚生労働省は8月30日の社会保障審議会医療保険部会に医療DX関連事項の審議スケジュールなどを報告した。医療DXのさらなる推進に向けた関係法令の整備や電子カルテ情報共有サービス等の運用費用の負担のあり方などについて、医療部会などとともに今後月1回程度のペースで議論し、年内を目途にとりまとめを行う。
法整備を含む検討が必要なのは、(1)全国医療情報プラットフォームの構築等、(2)医療等情報の二次利用の推進、(3)社会保険診療報酬支払基金の抜本的改組等―の3項目。
(1)では、電子カルテ情報共有サービスの構築や診療報酬改定DXの推進のほか、これらの運用費用の負担のあり方なども議論する。このうち電子カルテ情報共有サービスは、電子カルテの6情報(傷病名、薬剤アレルギー等、その他アレルギー等、感染症、検査、処方)と3文書(健康診断結果報告書、診療情報提供書、退院時サマリー)を登録すると、全国の医療機関等での6情報の閲覧や3文書の電子上での送受信が可能になる仕組み。患者本人もマイナポータルで自身の6情報を閲覧できる。2025年度中の本稼働を予定している。
電子カルテ導入済み医療機関がサービスを利用するには、医療情報交換の国際的標準規格(HL7 FHIR)に対応するためのシステム改修が必要。改修費用は医療情報化支援基金の補助対象になっている。
一方、電子カルテ未導入の診療所や中小病院向けには標準規格に対応したクラウド型の標準型電子カルテを開発する。まず医科無床診療所を対象にしたα版を25年3月までに開発し、モデル事業を実施。事業で得た知見を踏まえて本格版の開発に着手する。標準型電子カルテについては現在、導入時の経済支援は存在せず、その具体策も今後論点となる見込み。
(2)では、「電子カルテ情報データベース(仮称)」の構築やカルテ情報の二次利用、レセプト・介護レセプト・DPCデータ等の仮名化情報の利用・提供などを議論。(3)では支払基金を医療DXの運用主体として抜本的に改組する際の国のガバナンス強化や迅速・柔軟な意思決定を可能にする仕組みづくりなどを検討する。