政府は9月13日、新しい「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。年齢によって分け隔てられることなく、すべての人がそれぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会を目指していくと明言。具体策には、後期高齢者医療制度で窓口負担が3割となる現役並み所得者の対象拡大の検討や、認知症対策における専門医療機関とかかりつけ医等との連携体制強化などを挙げた。大綱の改定は2018年以来、6年ぶり。
後期高齢者の現役並み所得の判断基準の見直し等では、政府が23年12月に閣議決定した「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」が、28年度までに実施についての検討を行う方針を打ち出している。大綱もこの方針を踏襲。現役世代の負担の増加や一定以上所得がある後期高齢者を対象に22年10月に導入された窓口2割負担の状況にも留意しながら、見直しの検討を進めると記載した。
介護保険制度については、介護人材の確保や介護サービスの質向上に向け、介護職員の処遇改善やICT等のテクノロジーの活用による業務負担の軽減などに取り組む考えを示した。
認知症への対応では、共生社会の実現を推進するための認知症基本法に沿って「認知症施策推進基本計画」を策定し、認知症施策を総合的かつ計画的に推進。医療提供体制においては、認知機能低下のある人や認知症の人の早期発見・早期対応を目指し、かかりつけ医、地域包括支援センター、認知症地域支援推進員、認知症サポート医、認知症初期集中支援チーム、居宅介護支援事業所、認知症疾患医療センターを含む専門医療機関等について、地域の実情に応じた機能の強化や各医療機関間の連携強化を図ると書き込んだ。
人生の最終段階における医療・ケアの体制整備も掲げた。中でも本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスであるACP(アドバンス・ケア・プランニング)が重要だと指摘。患者の相談に適切に対応できる人材の育成や、国民向けの情報提供・普及啓発などを推進するとした。