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不正咬合(顎変形症)[私の治療]

No.5240 (2024年09月28日発行) P.54

山本雅絵 (東京歯科大学口腔病態外科学講座講師)

登録日: 2024-09-26

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  • 不正咬合(顎変形症)は骨格異常を原因として起こり,先天性と後天性がある。骨格異常を認める部位の違いが不正咬合のタイプに影響を及ぼす。骨格異常に伴い機能障害,審美障害,睡眠障害を呈し,精神的な影響を及ぼすことがある。

    ▶診断のポイント

    頭蓋骨に対する上顎骨,下顎骨の位置関係をセファロ分析により診断することで,手術が必要な病態か否かを判断し,また術式を選択する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療方針の主軸は咬合機能の回復にあるが,同時に上顎骨や下顎骨を移動させることは結果的に患者の顔貌に影響を与えることになる。その点を十分考慮し,治療計画を立てる。

    後戻りを考慮した安定性の高い術式,骨移動様式を選択する。治療はLe Fort I型骨切り術,下顎枝矢状分割術,オトガイ形成術,歯槽骨骨切り術,surgically assisted rapid palatal/maxillary expansion(SARPE/SARME)などの手術を組み合わせて行う。

    睡眠時無呼吸症候群のリスクを考慮し,気道が狭い症例に対して,下顎を後退させるケースでは上顎の前方移動を同時に行うことで下顎の後退量を減少させる,上顎を後退させるケースでは下顎の前方移動の併用,馬蹄形骨切り術の併用といった移動,術式を選択する必要がある。

    基礎疾患を有する患者には,基礎疾患による手術への影響,手術による基礎疾患への影響を総合的に判断し,治療を開始すべきかどうか熟考する。また,その基礎疾患,全身状態によって術式を選択し,顎骨の移動量や移動方向を決定する。

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