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歯性感染症(歯周膿瘍・蜂窩織炎)[私の治療]

No.5241 (2024年10月05日発行) P.43

山本雅絵 (東京歯科大学口腔病態外科学講座講師)

登録日: 2024-10-07

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  • 歯性感染症は口腔内の細菌増殖により炎症が波及した感染症である。歯周組織に膿瘍を形成した場合を歯周膿瘍,疎性結合組織に化膿性炎がびまん性に波及した場合を蜂窩織炎と言う。

    ▶診断のポイント

    歯性感染症を疑う患者が来院した場合,速やかに診察し緊急度を判断する。歯性感染症では敗血症へ移行する場合もあるため,まずは診察し,バイタルサイン,全身状態,摂食状況,呼吸状態,嚥下痛の有無,開口障害の有無,歯性感染症の原因歯の有無,炎症の波及範囲を確認し,重症度を把握することが大切である。

    具体的には血液検査,尿検査,オルソパントモX線,造影CTによる全身状態の客観的な評価,原因歯の検索と炎症の重症度,波及範囲の評価を行う(重症の場合は,速やかに静脈確保を行う)。また,気道狭窄の有無を評価し,入院の必要性,静脈内鎮静法もしくは全身麻酔下での処置の必要性などを総合的に判断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    歯性感染症はほとんどが混合感染であり,原因療法として抗菌薬を投与する。原因菌の同定に数日を要するため,まずはempiricalに口腔連鎖球菌,嫌気性菌に強い抗菌薬を選択し,原因菌,薬剤感受性試験の結果が判明した時点でde-escalationする。膿瘍形成,嫌気性菌の感染を強く疑う場合は,嫌気的環境を改善するために消炎処置を行う。抗菌薬の効果判定の目安は3日とし,その後抗菌薬の追加,変更を行う。

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