財務省は11月13日の財政制度等審議会財政制度分科会に、医師の偏在解消のための診療報酬上のディスインセンティブ措置として、地域において特定の診療科の医療サービスが過剰だと判断される場合にアウトカム評価の低い医療機関の報酬を減算する案などを提示した。
医師の偏在対策について財政審は今年5月に公表した春の建議で、医師過剰地域における新規開業規制の導入や診療所過剰地域における診療報酬の1点当たり引き下げなどを提言している。
財務省は今回さらに踏み込んだ対応として、ある地域の特定の診療科の医療サービスが過剰と判断される場合は、当該サービスを需要の掘り起こしが生じている「特定過剰サービス」とみなし、診療報酬1点単価の引き下げや減額を行うことを提案。ただし、一律の減算は必ずしも適当ではないことから、かかりつけ医機能やNDB(匿名医療保険等関連情報データベース)のデータなどに基づくアウトカム指標を設定し、アウトカムが良好と判定された医療機関は減算対象から外すメリハリの効いた制度設計とする考えを示した。
地域における特定過剰サービス単位ごとの年間医療費が一定の基準額を超過した場合に、アウトカム指標を満たさない医療機関を中心に超過額の保険償還分を精算する仕組みの導入も提案した。
医療提供体制では2040年頃を見据えた新たな地域医療構想について、(1)外来患者数の減少を踏まえた地域の外来機能における医療資源の集約化、(2)診療所を含めた外来の医療機能の転換・集約の推進、(3)入院需要の低下に合わせた病床全体の縮小のいっそうの推進―などの実現を促した。
25年度に予定される薬価の中間年改定にも言及した。過去2回(21・23年度)の中間年改定では対象品目が薬価と市場実勢価格の乖離が大きな品目に限定されたことを問題視。原則すべての医薬品を対象に改定を実施することや、実勢価改定に連動しない薬価算定ルール(新薬創出・適応外薬解消等促進加算の累積額の控除や長期収載品の薬価の段階的引き下げ等)も適用するよう求めた。
財政審は今回の財務省の意見も踏まえ、今月下旬にも25年度予算の編成等に関する建議をまとめる予定。