厚生労働省は12月5日の社会保障審議会医療保険部会に、高額療養費制度における自己負担限度額引き上げの影響を機械的に試算した結果を提示した。所得区分を現行よりも細分化した上で、各区分の限度額を仮に一律15%引き上げた場合、加入者1人当たりの保険料負担は後期高齢者で年間1200円、現役世代では5600円軽減されるとした。
現行制度における所得区分は70歳未満の場合、5段階設定となっている。試算ではまず所得区分のうち、住民税非課税世帯を除く4区分をそれぞれ3つに分割し、全13区分に細分化。次に細分化後の各区分の自己負担限度額を一律に引き上げた場合の影響を、引き上げ率5%、7.5%、10%、12.5%、15%の5パターンで機械的に試算した。
それによると、保険料全体の減少額は2600億円~4300億円。加入者1人当たりの年間の保険料負担軽減額は、①5%:後期高齢者600円、現役世代3500円、②7.5%:800円、4100円、③10%:900円、4600円、④12.5%:1100円、5100円、⑤15%:1200円、5600円―になることを示した。
給付費も3600億円~6200億円減少し、実効給付率は0.43%~0.74%低下する。部会は今回の試算結果も踏まえながら、所得区分の細分化や自己負担限度額の引き上げ水準についての議論を継続する。