薬事審議会医薬品第二部会は12月6日、アストラゼネカが免疫不全患者に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の暴露前発症抑制を目的に開発した長時間作用型抗体「カビゲイル注射液300mg」(一般名:シパビバルト)について、国内での製造販売を承認して差し支えないとの結論をまとめた。
カビゲイルは、新型コロナウイルス感染後の回復期患者により提供されたB細胞に由来する長時間作用型モノクローナル抗体。スパイクタンパク質と宿主受容体ACE2との相互作用を中和することで、オミクロン株や従来株に対して幅広く強力な効果を発揮するという。2022年8月に特例承認された同社の中和抗体薬「エバシェルド」と同じ抗体骨格を用いて作製された。
国内申請は2024年7月に第III相試験の結果に基づき行われた。同試験は血液がん患者、臓器移植レシピエント、透析を要する末期腎不全患者などを含む免疫不全患者を対象に米国、英国、EU、アジアの197の医療機関で実施され、対象群(エバシェルドまたはプラセボ投与群)と比較してカビゲイル投与群の発症率が統計学的に有意に低下したことが示された。
免疫不全患者は新型コロナワクチン接種により十分な免疫応答が得られず、感染した場合一般の患者に比べ重症化率および死亡率が高かったことが海外の大規模なリアルワールドエビデンス研究で確認されている。
「カビゲイル」の用法・用量
通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、300mgを大腿前外側部に筋肉内注射する
なお、筋肉内注射が困難又は適切ではない場合、静脈内注射する