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「医学と医療の革新」テーマに開催 - 「個の医療」推進を提言 [日本医学会総会2015関西]

No.4747 (2015年04月18日発行) P.9

登録日: 2015-04-18

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(概要) 第29回日本医学会総会2015関西(会頭=井村裕夫京大名誉教授)が11~13日に京都市で開かれた。最終日には「個の医療の推進」などを柱とする提言が採択された。 前回(2011年)の総会が東日本大震災の影響で大幅に縮小されたため、通常開催は8年ぶり。組織委員会の三嶋理晃準備委員長(京大教授)によると、医療関係の参加者は約2万5000人に上ったという。 総会テーマは「医学と医療の革新を目指して─健康社会を共に生きるきずなの構築」。学術講演では、iPS細胞やES細胞を利用した再生医療と、個人の遺伝素因や環境に着目して生活習慣病などを発症前に予防する「先制医療」が中心に据えられた。 山中教授がiPS臨床応用の進捗報告 11日、国立京都国際会館で行われた開会式では、山中伸弥京大iPS細胞研究所所長が、iPS細胞の臨床応用について講演。臨床応用に向けた取り組みは「順調に進捗している」と報告した上で、新たに2030年までに達成すべき長期目標を掲げた。 再生医療を巡る企画では、昨年に加齢黄斑変性の患者の手術に着手した理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーによる講演や、iPS細胞を用いた癌免疫療法に関する発表などが注目を集めた。 先制医療については、井村会頭が講演で世界における最近の研究から得られた知見を紹介。シンポジウムでは、国内第一線の研究者がアルツハイマー病などの発症予防の展望を語った。 初日には横倉義武日本医師会会長も講演。今月発足した日本医療研究開発機構に対し、革新的研究者の発掘に期待を示した上で、成長戦略にとどまらず医療現場に還元される取り組みとなるよう求めた。 高久史麿日本医学会会長は「わが国の医学研究の方向性」と題した講演で、世界と比較した日本の基礎医学研究を取り巻く情勢を解説。臨床研究不正を招いた一因として、MDの減少や生物統計に詳しい研究者が大学に残りにくい問題に言及した。 医療提供体制をテーマにした企画では、2017年度に始まる新たな専門医制度や、地域包括ケアにおける医師の役割について、登壇した医師会役員や厚生労働官僚らが議論を交わした。 13日には、103歳の日野原重明聖路加国際大名誉理事長が記念講演に登壇。聴衆に「皆さん全員の協力なしに真の健康社会は実現しない」と訴えた。 総会の締めくくりには日本医学会の提言として、「健康社会宣言2015関西」が採択。超高齢社会を迎えた日本の医学・医療の方向性として、(1)治療から予防へのパラダイム・シフト、(2)個の医療の推進、(3)トランスレーショナル・リサーチと臨床研究の促進、(4)出産、子育ての支援、(5)地域医療、看取り医療の推進─の5つの柱を掲げ、その実現に官民を挙げて努力することを確認し、総会は盛況のうちに幕を閉じた。 次回は2019年名古屋 次回の第30回日本医学会総会は2019年4月12~14日に名古屋市を中心に開催される。次期会頭の齋藤英彦名古屋医療センター名誉院長は「多くの方に議論に参加していただきたい」と挨拶した。

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