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【書評】『必ずできる!実践的カテーテルアブレーション』カテーテルアブレーションの全体像がつかめ,手元に置いておきたい一冊

No.5256 (2025年01月18日発行) P.69

杉 薫 (小田原循環器病院病院長・東邦大学名誉教授)

登録日: 2025-01-20

最終更新日: 2025-01-15

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カテーテルアブレーションは多くの頻拍性不整脈を根治できる治療法であり,その治療方法は日進月歩の感がある。1982年にScheinmanらとGallagerらがほぼ同時に,ヒトの上室性頻拍に対して電極カテーテルによる心内での直流通電で房室ブロックを作成し,これを頻拍症のカテーテルアブレーション治療として報告して,注目を集めた。しかし,直流通電によるカテーテルアブレーションはbarotraumaによる組織破壊で,心機能の低下などの合併症が見られたために,そのエネルギー源として高周波が注目され,1986年頃から米国では臨床に導入されている。

日本でも1990年から高周波通電による発作性上室性頻拍に対するカテーテルアブレーションが行われるようになり,心室頻拍もそのよい適応となっていった。カテーテルも可動式になり,イリゲーションカテーテル,コンタクトフォース機能などの改良が加えられ,多くの頻拍がカテーテルアブレーションで根治されるようになった。エネルギー源として高周波以外にクライオ,ケミカル(エタノール),レーザーなどが使用され,症例により選択されている。

さらに心内電位のmapping systemが飛躍的に広まり,心臓内の電気興奮の過程が可視化されるようになると,心内興奮伝播の状態が明瞭になり,アブレーション部位を容易に同定することが可能になった。特に心房細動に関しては,肺静脈隔離術が行われるようになってからは,カテーテルアブレーションが比較的容易に行われている。また,脳梗塞,心不全の原因としての心房細動が注目されている。そのため,カテーテルアブレーション施行数は飛躍的に増加している。

本書の編著者の池田隆徳教授は1989年からアブレーションの実験を繰り返し,臨床使用でも多くの経験を積んでいる。その経験を生かして,初心者でもカテーテルアブレーションの全体像がわかるように項目を選んで,本書を編集している。今後増加する可能性のあるパルスフィールドアブレーション治療も解説しており,最新の知識を得ることができる。麻酔を含めた前準備と術後の経過を診るポイントにも触れており,カテーテルアブレーションに携わる医師にとって手元に置いておきたい本である。

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