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携帯用超音波装置を用いた診断および治療の実際[私の治療]

No.5258 (2025年02月01日発行) P.37

泰川恵吾 (ドクターゴン診療所理事長/院長)

登録日: 2025-01-29

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  • 携帯用超音波(エコー)装置は,様々な機能や大きさの機種が普及している。最近では,ポケットサイズの機種(ポケットエコー)でも複数のプローブとパルスドプラー等の機能を備えたものがあり,ノートパソコンサイズの機種では大型機種に劣らない性能のものもある。多くの在宅患者は,病院へ搬送されCT検査やMRI検査を行うよりは,できるだけ自宅での検査,診断を希望する。また,携帯用エコー装置を用いれば,胸水・腹水穿刺や疼痛に対する処置等も在宅で安全に施行できる。在宅医のエコー診断技量によっては,さらに高度な診断,処置が可能となる。
    在宅患者の尿閉,便秘については,これまで訪問看護師が症状から判断して導尿などを施行してきたが,患者,訪問看護師ともに負担が大きく,施行した結果,処置不要であったことが判明するケースが多かった。近年では,訪問看護でのエコー装置使用が普及しつつあり,所見を医師に報告することでより正確な診断につながり,不要な処置を減らすことができている。

    ▶手技の実際

    最近では,ポケットエコーでも鮮明な画像と多くの機能を持つ機種があり,スクリーニング,処置など,広く活用できるようになった。スマートフォン画面を用いるワイヤレスタイプの機種が便利である。細かな所見を観察したい場合には,画面が大きめのタブレットを用いるとよい。

    スマートフォンやタブレットと連携するエコー装置では,画像送信機能を利用することができる。訪問看護でエコーを用いる場合,画像を医師がオンラインで確認して,施行者をバックアップするとよい。この場合,導尿などの指示だけでなく,胸水・腹水,肺炎,妊娠,その他,エコーで発見しやすい所見も遠隔で判断できる可能性がある。

    ▶状態の把握・アセスメント

    超小型のポケットエコーの場合,聴診器のように常時携帯できるため,手軽に検査することが可能である。このため,日頃感じているちょっとした疼痛や咳嗽などの症状について,理学所見に加えて検査することで,より正確な診断につながる。

    心不全患者のフォローアップでは,直感的なVisual EF+肺Bライン+IVCのような簡単な評価の上で,必要ならさらなる精査を行い,治療法を検討するとよい。

    症状のはっきりしない発熱の場合,膀胱,腎臓,肺Bライン,胆道系,胸水・腹水などの異常を観察することで,在宅患者で頻度の高い尿路感染,呼吸器感染,胆道感染などを迅速に診断することが可能である。

    また,体表の腫脹,疼痛,筋骨格系の異常についても,リニアプローブを備えたエコーがあれば,即時診断,処置できる可能性が高い。

    WEBコンテンツ「フレームワークを活かした腹部POCUS〜プライマリ・ケア診療に定着させる考え方」

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