厚生労働省は2月10日、「介護職員等処遇改善加算」を巡るの基本的な考え方や事務処理手順などに関する通知の改正とQ&Aを、都道府県や介護保険関係団体などに事務連絡した。未取得事業所の加算取得や、すでに加算を取得している事業所でより上位の加算取得が可能となるよう、一部の要件の適用を緩和する経過措置を設ける。
改正通知は、(1)キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系の整備等)、(2)キャリアパス要件II(研修の実施等)、(3)キャリアパス要件III(昇給の仕組みの整備等)、(4)職場環境等要件―について、25年度中の要件整備を誓約した場合は、25年度当初から要件を満たしたものとして取り扱うことを明記。職場環境等要件は、24年度補正予算事業の「介護人材確保・職場環境改善等事業」の申請を行った事業所等について、25年度中の要件適用を猶予する措置も設ける。
キャリアパス要件I〜IIIは、24年度にも誓約による要件充足を認める経過措置が設けられていた。経過措置を利用して新加算を取得した事業所等が24年度の実績報告書で要件整備を報告しなかった場合は本来、加算算定額の返還対象となるが、Q&Aは当該事業所等が25年度の処遇改善計画書において再度要件整備を誓約し、25年4月以降も新加算を算定する場合は返還を求めないことを明らかにした。
通知では経験・技能を有する介護職員のうち1人以上の改善後賃金見込額を年額440万円以上とすることを求めるキャリアパス要件Vについて、運用の明確化も図った。従来から「賃金改善が困難な場合であって、合理的な説明がある場合」は要件の適用から除外する考えが示されていたが、改正通知とQ&Aはその具体例として、①小規模事業所等で職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合、②職員全体の賃金水準が低い、地域の賃金水準が低い等の理由により、直ちに年額440万円まで賃金を引き上げることが困難な場合、③年額440万円の賃金改善を行うに当たり、規程の整備や研修・実務経験の蓄積などに一定の期間を要する場合―を挙げた。