質問
開院時から「かかりつけ患者」に対して,特定健康診査(特定健診)や後期高齢者健康診査を実施しています。クリニックの新たな収益源として,健康診断の拡充を図りたいと思っていますが,どう進めていくのがよいでしょうか。
回答
クリニックにおける健診拡充は,収益確保の有効策です。まずは,かかりつけ患者向けの特定健診などの実施率を上げることが重要です。その上で,地域の医療保険加入者割合を分析し,潜在ニーズを深掘りしましょう。
厚生労働省が公表している「特定健診・特定保健指導の実施状況について」1)によると,2023年度の市町村国保の特定健診の実施率は38.2%であり,実に約60%の対象者が受診していないことになります。後期高齢者健康診査も同様に受診率が低い傾向にあります。まずは,かかりつけ患者のこれらの受診状況を確認し,未受診であれば受診を促すことが,新たな収益源確保のための重要なアプローチの1つです。
近年,予防医療への関心の高まりや,企業における従業員の健康管理意識の向上などにより,健康診断のニーズは増加傾向にあります。また,地域包括ケアシステムの推進においても,クリニックが地域住民の健康維持・増進に果たす役割はますます重要になっています。このような背景から,クリニックによる健康診断の提供は,以下のようなメリットをもたらします。
新たな収益源の確保:保険診療以外の収入源を確保でき,経営の安定化につながります。
潜在患者の掘り起こし:健康診断の結果,異常が見つかった場合に,保険診療へスムーズに移行できます。
地域住民との関係強化:健康診断を通じて,地域住民との接点を増やし,信頼関係を構築することができます。