近年,ACP(アドバスンス・ケア・プランニング)の重要性が高まり,2024年度診療報酬・介護報酬改定でもACPを要件とする項目が設けられた。
ACP普及の初期には,ACPは主に,医療現場(病院)で医師や看護師が行うものという誤解が生まれたが,最近では生活の場,すなわち健康なときから,あるいは介護を受ける状況になったときからACPを行う重要性が認識されつつある。そのため医療従事者だけでなく,様々な立場の人がACPに関わる地域づくりが重要になっている。このような背景をふまえ,ケアマネジャーが行うACPについて,医師へのメッセージも込めて記載する。
ケアマネジャーによる状態の把握・アセスメントは,基本的にICF(国際生活機能分類)に基づいて行われ,その上でACPが実施される。
ACPでは,状態の把握・アセスメントというより,介護サービス利用者の思いのかけら(ピース)を把握することが重要である。ピースには,将来の医療・ケア選択に関するものや,生活に関するもの,その人の価値観,そして周囲との関係性に関するものが含まれる1)。これらを把握,キャッチして多職種で共有することが大事である。
ケアマネジャーはICFに基づいて,介護サービス利用者の生活を支えるためのケア計画を立て,本人・家族に助言する。
一方,ACPでは,その対話のプロセスを通じてキャッチしたピースを共有することで,将来の医療・ケア選択において,本人の意思をより尊重した備えとなる助言ができる。
つまり,ICFに基づいた命や日常生活を支えるための助言と,ACPの実施に基づいた本人の意思を尊重するための助言ができるのである。
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