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これからの医学教育を考える(その4) ─ゲノム情報の活用 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(103)]

No.4808 (2016年06月18日発行) P.74

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 10年以上前、いずれ1000ドルでヒトのゲノム解析ができるようになるという話を聞いた。ウソだろうと思った。しかし、いまや実現間近だ。誰もが自分のゲノムを知ることができる時代になりつつある。それを医療にうまく活かすことは、これからの医師の必修科目にならざるをえない。

    我らが医学部では、ゲノム解析を専門とする若くて優秀な教授をお迎えした。その教授選考セミナーの内容は、従来の研究とは相当に違っていたので、多くの教授には理解できなかったはずだ。もちろん私もその1人。悲しいけれど、老兵として、新しい時代が来たと認めざるをえない。

    一流の先生にゲノム解析について教えてもらえる学生たちは幸せだ。しかし、残念ながら、我が国のバイオインフォマティクスの立ち遅れは大きく、医学生に十分な教育をできる大学は多くないだろう。

    一方で、遠くない将来、いいソフトウェアができて、ゲノムのデータを入力したら、解析技術のことなど知らずとも、いろいろなことをコンピュータが教えてくれる時代がやって来るにちがいない。どの病気にどの程度なりやすいですよ、とか。

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