医療機器が発達すると、それを用いて病態が解明され、治療法も進歩します。以下は、私の専門分野である「副鼻腔炎」についての話です。
私が医師になった1980年代は内視鏡や小型カメラが開発され、それが医療現場にも導入された時期でした。それまでは副鼻腔炎の手術は裸眼で行われていたため、外切開をして炎症の起きた副鼻腔の病的粘膜を取り除くというものでした。しかし、この方法で手術を行っても改善率は芳しくはありませんでした。
ちょうどその頃、私は恩師である森山 寛・東京慈恵会医科大学名誉教授の指導のもと、多数の手術前後の副鼻腔を内視鏡と顕微鏡で観察し、その予後を記録していました。その結果、副鼻腔炎の治療に貢献する2つの事柄を明らかにしました。
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