No.4811 (2016年07月09日発行) P.72
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-01-23
「文楽応援の落語会 part3」で、またまた上方落語の聖地・天満天神繁昌亭の舞台にあがった。もちろん落語をするわけではなく、鼎談に登場。今回は忠臣蔵特集ということで、『中村仲蔵』『七段目』『質屋芝居』『蔵丁稚』など、ご存じ『仮名手本忠臣蔵』にちなんだ演目がずらりと並んだ。
仮名手本というと歌舞伎じゃないのか、と思われる方が多いかもしれないが、『義経千本桜』『菅原伝授手習鑑』とならんで歌舞伎の三大名作とされるのは、もともと、どれもが文楽オリジナルなのである。
いまさらながら、文楽や歌舞伎を題材にした落語の演目が多いことには驚かされる。かつては、庶民の多くが文楽、歌舞伎と落語を同時に楽しんでいたことがよくわかる。
残念ながら、いまや、そのオーバーラップは大きくない。どの落語家さんも大熱演で、会場は沸きに沸いた。しかし、あまり笑えていない若い人もいた。期せずして、忠臣蔵についてある程度の教養がなければ、どこが面白いかわからないという高度な落語会になってしまっていたのである。
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