お知らせ
先生、またお願いします。～死産のあとに～（柴田綾子）［プラタナス］
「先生、またお願いします」。外来で話す彼女の真っ直ぐな瞳を見ながら、私は2年前の妊婦健診を思い出した。「どうして～～～～～っっ！！」。内診台の上で、その人は泣き崩れていた。予定帝王切開で入院する数日前だった。
「先生、今日は胎動が少ない気がするんです……」。いつものようにエコーを始めた私の顔は一瞬で青ざめた。胎児の心拍が止まっている。そこから、どのように彼女に説明したか記憶がない。彼女は入院した。帝王切開ではなく、死産のための経腟分娩のために。陣痛誘発剤と痛みを和らげる麻酔薬を併用しながら経腟分娩を行った。彼女は泣き続けながら出産した。付き添った助産師も泣いていた。出てきた赤ちゃんの体はきれいで、大きな異常は見つけられなかった。小さな赤ちゃんの遺体は、当院のボランティアがつくっている小さな服をまとい、段ボールでつくった棺の中に入った。生まれてくる赤ちゃんのために夫婦で準備していたおもちゃが一緒にお供えされた。
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