日本医師会の横倉義武会長は10日、名古屋市で開かれた日本慢性期医療学会で講演し、次期診療報酬改定について、医薬品などのモノ代から人件費に財源を移転させる必要性を訴えた。
横倉会長は過度に医療費を抑制した、いわゆる小泉改革を例に挙げ、「その轍を踏んでもらったら困ると(政府に)強く言っている」と述べるとともに、骨太方針2015について「(医療費の)削減ありきではない」との考えを示した。
その上で、2000年の国民医療費の総額は50%が人件費で25%が医薬品などのモノ代だったのが、12年には人件費が46%に落ち込み、その分、モノ代が膨らんだと指摘。「モノから技術へ、もっと人の手当に財源を移転させることが必要」と強調した。
このほか横倉会長は、超高齢社会の医療について「高齢者の救急搬送が急増し、救急医療後の受け入れ先確保が重要課題になる」との認識を示した。
●日慢協・武久会長「人間性回復のリハを」
同学会では日本慢性期医療協会の武久洋三会長も講演。「おむつや経管栄養をしている人が歩行訓練のリハビリに熱心になれるのか」と述べ、人間性回復を優先し、摂食・排泄の自立を促すため、嚥下障害・膀胱直腸障害リハを重視するなどのリハビリ提供体制改革案を提言した。