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医療系大学、医療系専門学校の活性化 [エッセイ]

No.4766 (2015年08月29日発行) P.70

小磯謙吉 (白十字看護専門学校校長/筑波大学名誉教授)

登録日: 2016-08-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • 一頃のゴルフブームは去ったが、大方の男性はゴルフに精を出している。何かの折、話の接ぎ穂がないときにゴルフの話をすれば、3~4人に1人はそれで場が持つ。

    私は随分と昔からゴルフをしているが、正規のティーチングプロについて練習したことはなく、見様見真似でやっているので一向に上達しない。最近は1ラウンド100~110のスコアが大半である。1ラウンドのうちで失敗したホールも忘れないが、うまくいったホールではボールの飛び方、落ち所、パットなど、比較的よく覚えている。人生においても同様で、失敗したことは忘れようとし、うまくいったことは後日まで覚えている傾向がある。なぜ失敗したかを十分分析し、それを次回までに修正して挑戦することが大切なのはわかっているが、失敗の原因分析の能力がない。

    私のゴルフは失敗の連続であるが、この点について若干反省もしている。そこで、プロゴルファーと素人がコンビで登場するテレビのゴルフ番組を見ることにした。このような番組は日曜日の午後に3本、毎朝5時30分~6時に1本あり、合計4本見ている。見ていて興味深いのは、素人の方の失敗したプレーに対するプロの指摘は、素人の私でもほぼその半分は当たるということである。岡目八目というやつか。最近はしだいにプロの指摘と一致する率が高くなってきた。しかし、自分なりに理屈でわかっていても、いざ自分のことになるととてもうまくいかない。これは誰しも経験するところである。

    そのような番組ばかり見ているので、家内はあきれ、「ゴルフ番組を見ている割に、あなたって少しも上手にならないわね」などと言われる始末である。

    そう言われても、ゴルフ番組を見る。早朝、衛星放送で海外のゴルフマッチの状況が放映されることがある。最近は全米プロシニアゴルフ選手権などは、初日から優勝者が決まるまでのハイライト中心に放映され、興味を持って見ることができた。あのプレーヤーは明日どうなっているか、どんなスコアで回るだろうか、などが興味の対象である。

    ここで忘れてならないのは、青木 功プロの活躍である。スポーツの世界でも国際化が進み、数多くの日本人が世界で活躍している。中でも、青木プロは出色である。なぜなら、ゴルフという眼に見えるスコアで、全世界を相手に素晴らしい成績を上げているからである。私の属している医療の世界で、1つの手術、1つの治療や研究を通して全世界の医師と肩を並べたとき、青木プロのように全世界でベスト10に入る医師が日本に何人いるだろうか。私自身を翻って考えてみて、とても全世界のベスト10に入る自信はない。そういう意味で、青木プロのプレーを反省材料と医学研究と医療技術習練の出発点として見ている。

    自動車の運転でも同じである。日本人はおしなべて自動車の運転は外国人より上手である。しかし、米国の自動車レース「インディ500」に出場できる日本人はほとんどいない。こうしたことは、日本の医師にも言えることかもしれない。日本の外科医の腕は確かに外国の一般の外科医より優れているが、外国では一般の外科医の中に素晴らしく有能な医師がいる。ここが違うところである。教育システムの相違もさることながら、多数の医師はいらない、優れた医師が少数いればよい、とする外国の一般の人々が持っている医師観の相違でもある。

    このようなギャップは、どのようにして埋めればよいであろうか。それは、今回のテーマである国際化社会における医療系大学、医療系専門学校の活性化につながることである。

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