▼市区町村からマイナンバーの通知が始まった。既に通知カードを簡易書留で受け取ったという読者もおられるかもしれない。通知カードにはマイナンバーカードの交付申請書が付いており、これに必要事項を記載して顔写真を添付し自治体に提出すれば来年1月以降にカードの交付を受けられる。
▼マイナンバーカードは表面に顔写真や氏名、裏面に12桁のマイナンバーが記載されたカード。行政窓口での本人確認をカードで行えるようになるほか、身分証明として提示できる。スキミング対策として、カードには専用スリーブが付き、マイナンバーを隠せる仕様になるようだ。券面も正面以外からは文字がはっきり視認できない加工が施されるという。
▼マイナンバーカードの交付はあくまで任意だが、カードは今後導入予定のさまざまな制度の「前提」となっている。代表的なのが、医療保険のオンライン資格確認だ。政府はカードに健康保険証機能を持たせ、医療機関窓口から支払基金などのデータベースに照会し、資格の有無を確認するという構想を描く。
▼ただしこのシステムは、国民全員がカードを持っていなければ、医療機関はカードのない人に対応する確認方式を並存させる必要がある。健保連の白川修二副会長も社会保障審議会部会で「保険者としてもシステム導入には大賛成だが、前提が任意交付のカードでは心許なく矛盾も感じる」と述べている。
▼仮に多くの国民が交付申請したとしても、普及には時間がかかりそうだ。総務省の想定では、カードの交付は「初年度で1000万枚、最大で年間4000万枚」の見込みだ。一方、自民党内では、カードに医師免許、教員免許等の情報を統合させるなど利用拡大の議論が活発だ。医療をはじめさまざまな政策の今後はカードの普及度に左右されそうだ。