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疼痛・うつ病などに対する経頭蓋磁気刺激療法の現状【うつ病治療器として認可に向けた動きが進んでいる】

No.4786 (2016年01月16日発行) P.57

齋藤洋一 (大阪大学大学院医学系研究科 脳神経機能再生学特任教授)

登録日: 2016-01-16

最終更新日: 2021-01-05

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【Q】

経頭蓋磁気刺激療法(transcranial magnetic stimulation:TMS)が,疼痛,不随意運動,運動麻痺,うつ病などの治療に用いられています。しかし,治療法として用いるには,継続的な刺激をどのように行うかなど,解決すべき問題も残されています。TMSに豊富な経験をお持ちの大阪大学・齋藤洋一先生に,治療を目的としたTMSの現状と課題について解説をお願いします。
【質問者】
山本隆充:日本大学医学部脳神経外科学系応用システム神経科学分野教授

【A】

世界中で反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)の各種神経疾患に対する臨床研究,治験が行われています。具体的には,うつ病,パーキンソン病,疼痛,運動麻痺,片頭痛,アルツハイマー病などですが,最も臨床応用が進んでいるのはうつ病です。米国ではNeuronetics社が2008年,Brainsway社が2013年,それぞれのうつ病治療器についての米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の認可を得ており,日本でも自由診療のクリニックが登場する一方で,精神科の学会主導で認可に向けた動きが進んでいます。
現状の機器は大型であり,取り扱いに専門知識が必要とされるので,病院またはクリニックに設置して,患者が通院してrTMSを受けることになりますが,疼痛,パーキンソン病,運動麻痺などにおいては,症状改善が一時的であるので,継続的なrTMS治療が必要と考えられます。しかし,通院でのrTMS治療には限界があるため,現状では埋め込み式の電気刺激療法(electrical motor cortex stimulation)が施行されています。
そこで在宅でrTMSが施行できる機器があれば,それらの疾患の患者は在宅で継続的にrTMSができるようになり,大きなメリットが生まれます。私たちの教室は帝人ファーマ(株)と共同で,在宅で簡便に扱えるrTMS装置の開発に取り組んでおり,医師主導治験届を提出しています。

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