【Q】
若年女性の本態性振戦に対してブロマゼパムが奏効するとのことで前医処方を継続しています。咳喘息がありβ-ブロッカーの投与を控えていますが,若年者に対して10年単位でベンゾジアゼピン系薬(BZD)を投与することに懸念があります。長期投与した場合の今後の見通し,留意すべき副作用があればご教示下さい。【A】
日本神経治療学会が作成した本態性振戦の標準的神経治療指針によれば,ストレス対策などの生活指導では対処が難しく,ADLへの影響が無視できない中等度以上の症例に対して薬物療法を行うことになっています。第一選択薬としてプロプラノロールやアロチノロール(β-ブロッカー),プリミドン(抗てんかん薬)があります。本例のようにβ-ブロッカーが使いづらい場合でも,β-ブロッカーと同等の有効性が確認されているプリミドンが選択肢として残ります。後述する理由から質問者が候補に挙げているブロマゼパムの前にプリミドンの適否を検討することをお勧めします。
▼ 日本神経治療学会:ガイドライン・標準的神経治療:本態性振戦.
[https://www.jsnt.gr.jp/guideline/hontai.html]
▼ 三島和夫:睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン. じほう, 2014.