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心身症? [プラタナス]

No.4783 (2015年12月26日発行) P.1

古川誠二 (パナウル診療所所長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-31

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  • ある日、20歳の娘の母親から往診依頼があった。体調が悪く数年前から島内外の病院にかかっているが一向に良くならず、しだいに体が動かなくなってきた、私に紹介状を書いてもらい病院に連れて行きたい、それまで食事がとれないので点滴をしてほしい、とのこと。心身症と診断されており、飲んでいる薬は安定剤ばかりであった。

    話を聞くと、高校時代は卓球部に入っていたが、ラケットを振る速度がだんだん遅くなってきた。その後、疲れやすくなり、学校も休みがちになったため不登校と思われていた。安定剤がまったく効いていないこと、明るい話し方から重症筋無力症の可能性を考えた。参考のため、病院からこれまでの診療情報を取り寄せて頂いた。確かに、大学病院でも一度は重症筋無力症を疑い検査をしていたものの、検査結果と投与した薬が効かなかったことから否定されていた。抗アセチルコリン抗体が陰性であるが、ステロイドは一度も使われていなかった。ダメもとで試験的に少量を投与してみたら、2日目から「体が軽くなった」と言うので、本格的に投与開始した。1週間目には手すりにつかまってトイレに行けるようになった。この頃から両親は私に治療を任せると宣言した。本当によくなるのかと心配になるほど横這い状態がしばらく続いたが、やがて散歩に出られるまでになり、その後はどんどん力がつき、最終的には運転免許も取った。そして結婚もした。

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