これまで多数の症例報告論文を発表してきたが、最初の報告例は最も印象に残っているものであった。32歳の男性。細菌性皮膚膿瘍疑いで近くの病院で入院治療を受けていたが、良くならないということで筆者あてに紹介され、転院となった症例である。
1996年当時の筆者は、沖縄県立中部病院に初めて総合内科グループを立ち上げ、様々な診断困難例の入院加療を担当していた。
左後頸部の皮膚病変(写真下左、入院1カ月前の病変で径10cm)と発熱、白血球増多症が数週間続いていた。前医で膿瘍が疑われ、抗菌薬で軽快しなかったため、デブリドマンが行われ大きな皮膚欠損ができていた(写真下右、紹介入院時の病変で径15cm)。しかし発熱は依然として続き、膿の細菌培養からはMRSAと緑膿菌が検出され、今後の治療の見通しがつかないということで紹介入院となった。
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