(質問者:岐阜県 M)
破傷風に対する免疫は,破傷風含有ワクチン〔ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ四種混合ワクチン(DTP-IPV), ジフテリア・破傷風・百日咳三種混合ワクチン(DTP)およびジフテリア・破傷風二種混合ワクチン(DT),破傷風トキソイド(TT)〕接種でしか獲得できないとされています。現在,わが国では乳幼児期に1期接種としてDTP-IPVまたはDTPまたはDTでの4回の初回免疫,11~12歳に2期接種としてDTで1回の追加免疫の計5回の定期接種機会があります。定期接種の効果は,年齢別抗毒素抗体保有状況1)からワクチン接種後の抗体保有状況を確認できます。感染防御レベルは,0.01IU/mL以上とされていますので,1~50歳未満では90%以上が抗毒素抗体を保有しています。11~12歳の2期追加接種後,抗体は30~40年は防御レベル以上を維持しています。
一方,国内の破傷風患者の報告数は毎年100人前後ですが,70歳以上が圧倒的に多いことが特徴です。これには,わが国の破傷風に対する予防接種の歴史が反映されています。1948年に予防接種法が制定され,1953年から破傷風トキソイドが一部で導入されました。1968年からDTwPワクチンの定期予防接種が開始され,全国的に広く接種されています。現在の50歳未満は,少なくとも数回の破傷風含有ワクチンが接種されている世代です。一方,70歳以上は破傷風含有ワクチンが接種されていない可能性がある世代です。この世代に患者報告が集中しています。
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