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双方向型の医療情報連携そのメリットとは? 【まとめてみました】

No.4769 (2015年09月19日発行) P.14

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • ITを用いた地域医療連携ネットワークは、年々その数を増やしている。医療情報連携のしかたには、主に2つのパターン(図1)がある。中核・基幹病院から退院した患者を診る診療所が、病院のデータを閲覧する「参照型」の方式。そしてもう1つが、ネットワークに参加するすべての医療機関が患者情報を更新し、互いに閲覧できる「双方向型」の方式だ。

    日医総研の調査によると、2013年現在、全国約170の地域でITを用いた医療連携が図られている(図2)。方式別の連携数の推移をみると、2011年以降は参照型より双方向型のほうが多くなっており、今後も増加する見込みだ。
    双方向の情報連携は、地域医療にとって、どのようなメリットをもたらすのか。昨年、双方向の情報連携ネットワークの試験運用を始めた茨城県医師会の「いばらき安心ネット」の事例から考えてみよう。

    図1 医療情報連携の主な2パターン


    図2 医療情報連携は全国で進む


    3.11で情報断絶の重大さを痛感

    「いばらき安心ネット(iSN)」には、水戸市などの県央部、取手市などの県南部の医療機関を中心に、中核・基幹病院9施設、その他病院・診療所31施設、計40施設が参加している。

    iSNの計画が立ち上がったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災だ。茨城県は沿岸部が津波の被害を受け、内陸西部には福島県からの避難者が流れ込んだ。県内の医療従事者は病歴や薬歴の分からない患者群に当惑し、特に透析患者への対応に難渋した。iSNはそんな震災の反省を踏まえて構築された。

    患者情報は本人が同意した医療機関でのみ閲覧可能となっている(次頁図3)。ネットワークでは、診療情報を時系列で閲覧できる「診療情報ビューア」、ネットワークに参加する医師のプロフィールを記した「医師人名録」などのサービスが提供されている。
    ネットワークへのログインには、日本医師会が発行する「医師資格証」を用いて電子認証を行う。医師会のサーバ群にアクセスログが残るようになっており、セキュリティの担保を図っている。

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