2016年度診療報酬改定で減薬を伴う指導の評価が新設されるなど、ポリファーマシー(多剤処方)を見直す動きが強まっている。
特にポリファーマシーが問題となるのが高齢者だ。日本老年医学会は昨年12月、高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬剤と、開始を考慮すべき薬剤のリストを示した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(GL)2015」を刊行した。GLは高齢者薬物療法の安全性を高めるため2005年に作成され、今回は10年ぶりの全面改訂となる。
昨年4月に公表されたGL案では、中止を考慮すべき薬剤リストを「ストップ」、推奨される薬剤リストを「スタート」としていた。しかし、パブリックコメントで「ストップ」を投与禁止の薬剤と誤解した意見が多く寄せられたことから、「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」「開始を考慮するべき薬物のリスト」に名称変更し、両者を合わせて「高齢者の処方適正化スクリーニングツール」とした。
併せて「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」から吸入ステロイド薬、吸入抗コリン薬、テオフィリン、鎮痙薬、β3刺激薬、前立腺肥大症治療薬を削除。漢方は両方のリストから全て削除された。このほか、他の学会のGLとの整合性を図った。
GL作成ワーキンググループの委員長を務めた秋下雅弘氏にGLのポイントを聞いた。
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