(1)超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)
EUS-FNAは膵腫瘍に対する生検法として1992年にVilmannら(文献1)が報告して以来,胆膵疾患,消化管粘膜下腫瘍,腹腔内リンパ節などに対する組織採取法として広く普及し,わが国では2010年4月に保険収載された。従来まで非手術的な組織採取が困難な病変に対して,超音波画像下に病理診断を安全かつ確実に行えるのが特徴である。
『消化器内視鏡ガイドライン』(文献2)では,EUS-FNAの主な適応としてa.腫瘍性病変の鑑別診断,b.がんの進展度診断(リンパ節転移や少量の胸腹水),c.化学・放射線療法施行前の組織学的確診,が挙げられ,EUS-FNAを安全かつ容易に実施可能で,治療方針決定に有用な情報を与える場合が適応とされている。EUS-FNAによる細胞診での鑑別診断の正診率は約90%,偶発症の頻度は0~2%で,その内訳は膵炎,十二指腸穿孔,出血などが主であり,穿刺後の播種例の報告はわずかである。
(2)interventional EUS
近年,EUS下穿刺を応用した治療手技の発展が目覚ましく,EUSガイド下の膵仮性嚢胞ドレナージに加えて,経消化管的に直接胆管や膵管を穿刺してステントを留置する胆管・膵管ドレナージが専門施設を中心に普及してきている。一期的内瘻化や腫瘍を介さないドレナージルートなど,他のドレナージ法にはない利点があり,専門機器の開発が進めばさらなる発展が期待される。
1) Vilmann P, et al:Gastrointest Endosc. 1992;38 (2):172-3.
2) 神津照雄, 他:消化器内視鏡ガイドライン. 第3版. 日本消化器内視鏡学会, 監. 医学書院, 2006, p170-87.