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慢性肝炎に対する新規線維化マーカーM2BP糖鎖修飾異性体

No.4761 (2015年07月25日発行) P.53

近藤祐嗣 (東京大学消化器内科)

小池和彦 (東京大学消化器内科教授)

登録日: 2015-07-25

最終更新日: 2016-10-26

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肝線維化の評価は慢性肝疾患の診療において重要であるが,経皮肝生検は入院が必要であったり,合併症の危険から施行機会は少ない。近年,無侵襲の肝硬度測定装置であるフィブロスキャンが普及してきたが,肥満例や有腹水例では測定不能である点,検者の習熟度に依存する点が課題として残っている。
Mac-2結合蛋白(M2BP)は,肝細胞を含め多種の細胞から分泌され,細胞接着をはじめ多くの機構を調節する糖蛋白質で,1分子が7個の糖鎖を持ち,血液中では10~16分子が集合してドーナツ状の形態をとっている。肝臓の線維化の進展に伴って特定のレクチンに結合する糖鎖構造を持つ異性体(M2BP糖鎖修飾異性体)が増加するが,そのうち,Wisteria floribunda agglutinin(WFA)に結合するM2BP(WFA+-M2BP)の量が肝線維化の程度とよく相関し(文献1),C型慢性肝炎例において肝発癌の予測因子となること(文献2),脂肪性肝疾患例における線維化の評価に有用であること(文献3)などが報告されている。
2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により20分程度で測定可能であり,2015年1月「Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体」として保険収載(200点)された。今後,簡便な肝線維化評価法として普及することが期待される。

【文献】


1) Kuno A, et al:Sci Rep. 2013;3:1065.
2) Yamasaki K, et al:Hepatology. 2014;60(5):1563-70.
3) Abe M, et al:J Gastroenterol. 2015;50(7):776-84.

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